【宅建一問一答】市街化調整区域に市街地開発事業は定められる?|7種類と都市計画基準

市街化調整区域に市街地開発事業を定められるかを問う宅建一問一答のサムネイル
Kentoくん

市街地開発事業は7種類あります。でも、どの区域でも定められるわけではなく、実際の使われ方にも大きな差があります。

このメモでは、宅建士試験の一問一答を入口に、市街地開発事業を定められる区域、7種類の事業、都市計画現況調査から見える利用状況を整理します。動画より少し詳しく、2026年の法改正による号番号の移動も確認します。

目次

動画で約4分解説

今回の問題

市街化調整区域では、市街地開発事業を都市計画に定めることはできない。

Kentoくん

正しいか、誤りか考えてみて。

正解は「正しい」

市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域で、一体的に開発・整備する必要がある土地の区域について定めます。市街化調整区域は対象に含まれません。

市街化区域、非線引き都市計画区域、市街化調整区域と市街地開発事業の関係図
市街化区域と非線引き都市計画区域が対象です。市街化調整区域は対象外です。

なぜ市街化調整区域では定められないのか

市街化区域は、すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域です。一方、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。

市街地開発事業は、一定の区域を面的・一体的に開発または整備する制度です。そのため、市街化を抑えることを基本とする市街化調整区域とは制度目的が合いません。試験では『対象外』だけでなく、この理由まで結び付けると覚えやすくなります。

ここでいう『定めることができない』は、市街地開発事業を都市計画として定める区域に関する都市計画基準の説明です。個別の開発許可制度とは論点が異なります。

市街地開発事業とは

市街地開発事業は、一定の区域を区切り、宅地と道路・公園などの公共施設を面的・一体的に整備する事業です。都市施設が道路や公園などを線的・点的に整備するのに対し、市街地開発事業は区域全体を整える点が特徴です。

都市計画法第12条の7種類

都市計画法第12条に定める市街地開発事業7種類の一覧図
都市計画法第12条は、市街地開発事業を7種類列挙しています。
市街地開発事業概要
土地区画整理事業換地により、宅地と道路・公園などを一体的に整える
新住宅市街地開発事業良好な住宅市街地を大規模に供給する
工業団地造成事業工業用地と公共施設を計画的に整える
市街地再開発事業建築物・敷地・公共施設を一体的に再整備する
新都市基盤整備事業新都市の基盤となる道路・鉄道などを整える
住宅街区整備事業共同住宅と公共施設を一体的に整える
防災街区整備事業密集市街地を防災性能の高い街区へ整える

実際には、7種類が同じように使われているわけではない

国土交通省の令和7年都市計画現況調査(2025年3月31日現在)を見ると、土地区画整理事業と市街地再開発事業の地区数が多く、ほかの制度との差が大きいことが分かります。

令和7年都市計画現況調査による市街地開発事業の地区数等の比較図
法律上は7種類が並列に列挙されていますが、実際の利用規模は一様ではありません。
市街地開発事業地区数等集計上の補足
土地区画整理事業5,197都市計画決定地区数
市街地再開発事業1,172現況調査の地区数
工業団地造成事業6244都市
新住宅市街地開発事業4837都市
防災街区整備事業237都市
住宅街区整備事業54都市
新都市基盤整備事業0現在まで事業実績なし

統計表は制度ごとに集計項目が異なります。たとえば、土地区画整理事業の5,197地区は『都市計画決定地区数』であり、事業全体の合計地区数11,846とは別の数字です。そのため、ここでは一括して地区数等と表記しています。

市街地再開発事業は東京都、とくに23区への集中が目立つ

市街地再開発事業1,172地区のうち、東京都は283地区で全国の24.1%を占めます。全国の『大半』ではありませんが、都道府県別では突出して最多で、2位の兵庫県78地区の約3.6倍です。

市街地再開発事業は東京都が283地区で最多、東京都内の86.2パーセントが23区に集中していることを示すグラフ
東京都は全国の約4分の1を占め、東京都内では23区への集中が鮮明です。

東京都283地区のうち、23区は244地区で東京都内の86.2%を占めます。23区だけで全国の20.8%です。区別では、港区38地区、中央区29地区、品川区23地区、新宿区19地区、千代田区17地区が上位で、この5区だけで23区の51.6%に達します。

これは統計からの推察ですが、都心部では地価が高く、土地・建物の権利関係が細分化し、老朽建築物の更新や駅周辺・臨海部の再編、高度利用と公共施設整備を一体で進める需要が大きいことが、市街地再開発事業の集中につながっていると考えられます。

指定時期から制度の背景も見える

現況調査に収録された事例では、新住宅市街地開発事業と工業団地造成事業は昭和39年から、市街地再開発事業は昭和45年から確認できます。高度経済成長期の住宅・工業用地の需要や、既成市街地の更新に対応してきた制度であることが読み取れます。

防災街区整備事業は平成18年以降の事例が確認でき、密集市街地の防災性向上という比較的新しい課題に対応しています。一方、新都市基盤整備事業は昭和47年に制度化されましたが、国土交通省資料によると現在まで事業実績はありません。

都市計画運用指針での考え方

国の都市計画運用指針では、市街地開発事業について、土地利用、道路・公園などの都市施設との総合性・一体性を確保し、計画的で良好な市街地を面的に整備する考え方が示されています。

また、人口減少局面では、新しい市街地をつくる事業の決定や実施を慎重に検討する必要があります。法令上は選択肢にある制度でも、社会状況や地域の将来像に応じて使われ方が変わる点が実務上のポイントです。

2026年度宅建試験では第12号、現在は第13号

2026年度宅建試験は、2026年4月1日現在施行されている法令が出題基準です。この基準日では、今回の直接根拠は都市計画法第13条第1項第12号です。

その後、2026年5月27日施行の改正により、同じ規定は第13号へ移動しました。これは号番号の移動であり、今回扱う規定内容は変わっていません。受験勉強では第12号、現在の法令確認では第13号として整理しましょう。

宅建士試験の勉強ポイント

  1. 市街地開発事業を定められるのは、市街化区域と非線引き都市計画区域
  2. 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域なので対象外
  3. 市街地開発事業は、区域を面的・一体的に整備する制度
  4. 都市計画法第12条に7種類が列挙されている
  5. 2026年度宅建試験では第13条第1項第12号、2026年5月27日以降は第13号

まとめ

今回の問題は正しいです。市街地開発事業は、市街化区域または非線引き都市計画区域で定め、市街化調整区域では定めません。

区域の組合せだけを暗記するのではなく、『市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域』という理由、市街地開発事業が面的整備の制度であること、7種類の実際の使われ方までつなげて理解しておきましょう。

根拠・参考資料

法令・公的資料確認日:2026年8月10日

このメモは資格試験の学習を目的とした一般的な解説です。法令改正や個別の都市計画については、最新法令、都市計画図書および担当窓口で確認してください。

記事の制作・確認について
本記事はKentoくん編集部が制作し、建築基準適合判定資格者/建築・都市計画行政実務者が内容を確認しています。
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