ケントくん先に結論。過去9試験では、建築基準法の2問は「建物そのものの安全・手続」と「建物とまちの関係」に分かれていたよ。初めて勉強する人は、用途制限と建築確認から始めると全体像をつかみやすいんだ。
宅建士試験では、建築基準法から例年2問が出題されます。
2問だけと聞くと範囲が狭そうに見えます。しかし、実際には建築確認、階段や換気、防火、用途地域、道路、高さ、建蔽率、容積率など、初めて見る言葉が次々に出てくる分野です。
そこでこのメモでは、まず用語の意味をかみくだき、そのあとで令和元年度から令和7年度までの9試験・18問・72選択肢を使って、何から勉強するとよいかを整理します。令和2年度と令和3年度は10月試験と12月試験を別に数えているため、7年間で9試験となります。
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建築基準法を初めて学ぶ人へ|用語と法令のしくみ
建築基準法は、建物の敷地、構造、設備、用途について最低限守る基準を定め、生命・健康・財産を守ることを目的とする法律です。
宅建で問われるルールは、大きく2つの方向に分けると理解しやすくなります。
建物そのもの
階段、採光、換気、避難、防火など、建物単体の安全や衛生を守るルールです。
建物とまちの関係
用途地域、道路、建蔽率、容積率、高さなど、周囲のまちと調和させるルールです。
前者は一般に「単体規定」、後者は「集団規定」と呼ばれます。単体規定は一つの建物の安全性を見る規定、集団規定は建物と道路・隣地・地域との関係を見る規定、と最初は覚えておけば十分です。
用途地域
用途地域は、住宅地、商業地、工業地など、まちの使い方を分ける都市計画上の区域です。都市計画法が区域を定め、建築基準法がその区域で建てられる建物の用途や規模を具体的に制限します。



「用途地域に建物を建てる」とは、色のついた地域に自由に建てるという意味ではないよ。その地域で建てられる用途と規模を、建築基準法で確認するんだ。
建築確認
建築確認は、工事を始める前に、建築計画が建築基準関係規定へ適合しているか審査を受ける手続です。建築主事または指定確認検査機関が確認し、適合すると確認済証が交付されます。
建蔽率と容積率
| 用語 | 簡単な意味 | 何を抑えるか |
|---|---|---|
| 建蔽率 | 敷地面積に対する建築面積の割合 | 建物を上から見た広がり |
| 容積率 | 敷地面積に対する延べ面積の割合 | 建物全体の床面積 |
同じ敷地でも、建蔽率は建物の横への広がり、容積率は建物全体のボリュームを調整します。試験では、防火地域や角地などの緩和、複数の地域にまたがる敷地、算入しない部分などがひっかけになりやすいです。
法律・施行令・施行規則・告示の違い
建築基準法のルールは、法律だけで完結しているわけではありません。上位の法律が基本的な枠組みを定め、施行令、施行規則、告示が順に具体的な基準や手続を補います。
| 種類 | 誰が定めるか | 主な役割 | 宅建での優先度 |
|---|---|---|---|
| 法律(建築基準法) | 国会 | 建築確認、用途制限、道路、高さなどの基本的な仕組みを定めます | 最優先です |
| 施行令(政令) | 内閣 | 階段、換気、避難、防火、日影などの数値・技術基準を具体化します | 法律と並んで最優先です |
| 施行規則(省令) | 国土交通大臣 | 法律・施行令から委任された申請手続や書類などの細部を定めます | 補足として確認します |
| 告示 | 国土交通大臣 | 材料、構造方法、計算方法など、さらに具体的な技術基準を示します | 宅建では優先度を下げられます |
宅建士試験で中心となるのは、法律と施行令です。問題文ではまとめて「建築基準法」と表現されていても、正誤判断に必要な数値や例外が施行令に置かれていることがあります。施行規則や告示に関係する内容が絶対に出ないという意味ではありませんが、初学者はまず法律と施行令を論点ごとに学ぶのが効率的です。
過去7年・72選択肢から分かった出題傾向
- 対象:令和元年度から令和7年度
- 実施回数:9試験
- 対象:建築基準法の設問1・設問2、合計18問
- 分析量:72選択肢
- 法令基準:2026年4月1日現在施行
元の問題文は転載せず、各選択肢を主な分野とひっかけ方に分類しました。1つの選択肢に複数の条文が関係する場合でも、学習上いちばん中心となる分野へ1つだけ分類しています。
2問の役割は「建物」と「まち」に分かれます
| 建築基準法の設問 | 主な内容 | 初心者向けの見方 |
|---|---|---|
| 設問1型 | 単体規定、建築確認、行政措置、防火・耐火、条例 | 建物そのものと、建てる前後の手続 |
| 設問2型 | 用途制限、道路、高さ、建蔽率、容積率、協定・特例 | その場所に、どの大きさの建物を建てられるか |



設問1型は「建物の中と手続」、設問2型は「敷地とまち」。最初にこの2つへ分けるだけで、ばらばらに見える用語が整理しやすくなるよ。
将来も並び順が固定される保証はありません。ただし、過去9試験の内容を見る限り、この2つの役割分担は2026年度の学習軸として十分に使えます。
72選択肢で多かった分野
| 順位 | 分野 | 選択肢数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 単体規定 | 14 | 19.4% |
| 2 | 手続・適用・行政措置 | 11 | 15.3% |
| 3 | 用途地域・用途制限 | 9 | 12.5% |
| 4 | 道路・接道・壁面線 | 8 | 11.1% |
| 4 | 高さ制限 | 8 | 11.1% |
| 6 | 防火・耐火 | 7 | 9.7% |
| 6 | 建蔽率 | 7 | 9.7% |
| 8 | 特例・条例・協定 | 6 | 8.3% |
| 9 | 容積率 | 2 | 2.8% |
広い分類では単体規定が最も多くなっています。ただし単体規定には、階段、採光、換気、避難、設備など異なる論点が含まれています。1つの決まった型として最も安定しているのは、後で説明する「ある用途地域に、ある建物を建てられるか」という用途制限問題です。
設問1型は単体規定と建築確認が中心です
| 分野 | 36選択肢中 | 設問1型での割合 |
|---|---|---|
| 単体規定 | 14 | 38.9% |
| 手続・適用・行政措置 | 11 | 30.6% |
| 防火・耐火 | 7 | 19.4% |
| 特例・条例・協定 | 4 | 11.1% |
単体規定は9試験中8試験、建築確認などの手続系は9試験中7試験に登場しました。毎年同じ条文ではなく、階段、換気、避雷、避難、排煙、内装、有害物質などから入れ替わって出ています。
そのため、数字だけをばらばらに暗記するより、「どんな用途の建物か」「何階か」「高さや面積はいくつか」「例外があるか」の順に条件を拾う方が対応しやすくなります。
直近は建築確認・手続が増えています。
令和6年度・令和7年度の設問1型を合わせると、8選択肢のうち5選択肢、62.5%が手続・適用・行政措置でした。2025年4月の大改正と重なるため、2026年度も建築確認は最重要分野になると考えられます。
設問2型は用途・道路・高さ・建蔽率が中心です
| 分野 | 36選択肢中 | 設問2型での割合 |
|---|---|---|
| 用途地域・用途制限 | 9 | 25.0% |
| 道路・接道・壁面線 | 8 | 22.2% |
| 高さ制限 | 8 | 22.2% |
| 建蔽率 | 7 | 19.4% |
| 容積率 | 2 | 5.6% |
| 特例・条例・協定 | 2 | 5.6% |
用途制限は9試験中8試験に登場しました。高さ制限も令和4年度から令和7年度まで4試験連続で出ています。道路関係は過去9試験中7試験に登場したものの、直近2試験では出ていません。2026年度に戻る可能性を考え、学習対象から外さない方が安全です。
最頻出は「この用途地域に、この建物は建つか」
具体的な問題の型として最も安定しているのは、用途地域と建物用途を組み合わせた建築可否の判断です。
- 住宅系用途地域に映画館や店舗を建てられるか
- 工業系用途地域に学校・病院・福祉施設等を建てられるか
- 低層住居専用地域に店舗・飲食店等を建てられるか
- 床面積、階数、客席面積、作業場面積などの条件を満たすか
「映画館は建てられる」と用途だけを覚えるのでは足りません。用途地域が変われば結論が変わり、同じ用途地域でも床面積などの条件で結論が分かれることがあるためです。
用途制限問題の確認順
- 用途地域を確認する
- 建物の用途を確認する
- 床面積・階数・客席面積等の条件を確認する
- 兼用住宅や特別用途地区等の例外がないか確認する
年度別ヒートマップで見る出題の動き
次の表は、各試験8選択肢のうち、その分野に分類した選択肢数を示しています。0は出題なし、3は8選択肢中3選択肢がその分野だったことを表します。
| 分野 | R1 | R2 10月 | R2 12月 | R3 10月 | R3 12月 | R4 | R5 | R6 | R7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単体規定 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 0 | 2 | 1 | 1 |
| 手続・行政 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 3 | 2 |
| 用途制限 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 |
| 道路・接道 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 |
| 高さ制限 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 |
| 防火・耐火 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 建蔽率 | 1 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| 特例・条例等 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 1 |
| 容積率 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
表に出てくる分野の意味
| 分野 | 初心者向けの意味 | 代表的な確認ポイント |
|---|---|---|
| 単体規定 | 一つの建物の安全・衛生を守るルールです | 階段、採光、換気、避難、設備を確認します |
| 手続・行政 | 建てる前後に必要な確認や行政上の対応です | 建築確認、検査、違反建築物への措置を確認します |
| 用途制限 | その地域に建てられる建物用途を決めるルールです | 用途地域、建物用途、床面積・階数を組み合わせます |
| 道路・接道 | 敷地が道路へどのように接するかを定めるルールです | 道路の種類、幅員、接道長さを確認します |
| 高さ制限 | 建物の高さや周囲への圧迫・日影を抑えるルールです | 絶対高さ、斜線制限、日影規制を確認します |
| 防火・耐火 | 火災の拡大や避難上の危険を抑えるルールです | 地域、用途、階数、面積、構造を確認します |
| 建蔽率 | 敷地に対する建物の平面的な広がりを抑える割合です | 防火地域や角地の緩和を確認します |
| 特例・条例等 | 原則を緩和・強化する許可、条例、協定などです | 誰が認めるか、どんな条件が必要かを確認します |
| 容積率 | 敷地に対する建物全体の床面積を抑える割合です | 指定容積率と前面道路による制限を確認します |
- 用途制限は特定年度へ集中せず、ほぼ毎年1選択肢ずつ現れています。
- 手続系は令和6年度・令和7年度で濃くなっています。
- 高さ制限は令和4年度から令和7年度まで連続しています。
- 道路関係は直近2試験で出ていませんが、それ以前は7試験連続で登場しています。
ひっかけ方から分かる問題の読み方
| ひっかけ方 | 選択肢数 | 割合 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 数値・規模基準 | 20 | 27.8% | 面積、高さ、階数のどれが条件かを見る |
| 緩和・特例要件 | 16 | 22.2% | 原則だけでなく、許可・認定・例外を見る |
| 適用区域・対象範囲 | 14 | 19.4% | どの区域・建物・行為に適用するかを見る |
| 手続・権限 | 9 | 12.5% | 誰が、誰に、いつ行うかを見る |
| 原則・例外 | 7 | 9.7% | 「必ず」「一律に」の断定を確認する |
| 用途可否 | 6 | 8.3% | 用途地域と用途・規模を組み合わせる |
上位3つを合計すると50選択肢、全体の69.4%になります。つまり、多くの問題は条文全体を難しく言い換えているのではなく、数値・例外・適用対象のどれかを入れ替えています。
「ひっかけ方」とは、正しいルールの一部分だけを入れ替えて、もっともらしい誤りを作る方法です。それぞれを次のように読むと整理しやすくなります。
- 数値・規模基準:面積、高さ、階数、幅員などのうち、どの数値が判定条件なのかを確認します。数字だけでなく単位にも注意します。
- 緩和・特例要件:原則では制限されていても、許可・認定・一定の構造などによって緩和される場合があります。例外の条件が一つ欠けていないかを確認します。
- 適用区域・対象範囲:都市計画区域内だけか、区域外も含むか、どの用途・規模の建物かを確認します。区域や建物の種類を入れ替える問題が典型です。
- 手続・権限:建築主、建築主事、特定行政庁などの誰が、いつ、何をするのかを確認します。主体や手続の順番が入れ替えられます。
- 原則・例外:「必ず」「一律に」「すべて」のような断定表現があれば、例外がないかを確認します。
- 用途可否:建物名だけで判断せず、用途地域、用途、床面積・階数などをセットで確認します。
問題文を読むときは、①対象となる区域・建物、②原則、③緩和・例外、④数値または手続の主体、の順に確認します。この順番を決めておくと、長い文章でも迷いにくくなります。
2026年度に向けて確認したい法改正
2025年4月改正は昨年度に出題された
2025年4月1日、木造建築物の建築確認・検査対象と審査省略制度が大きく見直されました。2階建て木造住宅などの大規模修繕・大規模模様替も、新たに建築確認の対象となりました。
令和7年度試験では、2階建て木造住宅の新築には確認が必要ですが、大規模修繕には不要である、という趣旨の選択肢が出題されました。この選択肢は誤りで、改正内容が施行年に早速問われたことになります。



昨年出たなら、もう出ないのかな? 大改正は一つの選択肢だけでは終わらないよ。2026年度は、建物の区分、区域、工事内容、面積を変えた出題を警戒しよう。
2026年度も確認したい改正論点は、次のとおりです。
- 新2号建築物・新3号建築物の区分
- 都市計画区域外を含む建築確認の対象
- 大規模修繕・大規模模様替の確認
- 審査省略制度の対象
- 構造計算が必要となる木造建築物の規模
「大規模修繕」とは、主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいいます。日常的な小修繕すべてを意味するわけではない点も、初心者が最初に区別したいところです。
2025年11月改正は「補足」として押さえます
2026年度宅建試験は、2026年4月1日現在施行されている法令が出題の基準になります。そのため、2025年11月1日に施行された建築基準法施行令の改正も、形式上は試験範囲に入ります。
- 防火区画等の内装制限
- 小屋裏隔壁
- 無窓居室の判定
- 防煙壁・自然排煙口
- 大規模木造建築物等の敷地内通路
- 既存建築物の大規模修繕等における遡及適用の緩和
ただし、この改正は防火区画、排煙、既存建築物への遡及適用など、宅建受験者にはかなり技術的な内容です。過去の出題の細かさと比べると、改正内容の細部がそのまま出題される可能性は高くないと考えます。2025年4月改正、用途制限、道路、高さを優先し、2025年11月改正は余力があれば学ぶ位置づけが適切です。
それでも学ぶ意味はあります。法律が基本ルールを定め、施行令が技術基準を具体化する関係を理解しやすくなり、防火・避難分野の用語にも慣れられるためです。「試験に出ない」と断定せず、重要度を下げて確認するのが安全です。
初めて学ぶ人の優先順位
| 順番 | 学ぶ分野 | 最初の完成ライン | 傾向上の理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 用途地域・用途制限 | 用途地域、建物用途、規模の順で建築可否を判断できる | 9試験中8試験に登場 |
| 2 | 建築確認と2025年改正 | 建物・区域・工事内容から確認要否を判断できる | 直近2試験で手続系が62.5% |
| 3 | 道路・高さ・建蔽率・容積率 | それぞれが何を制限する数値か説明できる | 設問2型の66.7%が道路・高さ・建蔽率 |
| 4 | 単体規定・防火 | 用途・階・高さ・面積と例外をセットで読む | 単体規定は9試験中8試験 |
| 5 | 条例・協定・特例 | 原則に対する許可・認定・条例の役割を区別する | 緩和・特例が全72選択肢の22.2% |



最初から細かな数値を全部覚えなくても大丈夫。まずは「何を制限するルールか」を説明できるようにして、問題を解きながら数字と例外を足していこう。
まとめ|まずは用途制限と建築確認から
- 建築基準法は「建物そのもの」と「建物とまち」の2方向に分けると分かりやすくなります。
- 過去7年・9試験では、単体規定と手続が設問1型、用途・道路・高さ等が設問2型の中心です。
- 具体的な最頻出型は「ある用途地域に、ある建物を建てられるか」です。
- 数値・特例・適用対象のひっかけで全72選択肢の69.4%を占めます。
- 2025年4月改正は昨年度に出題済みですが、2026年度も別角度の継続出題に備えます。
- 2025年11月施行の防火・避難関係改正も試験範囲ですが、学習優先度は下げられます。



用語が多くても、地図があれば迷いにくいよ。この傾向に合わせて作った100問チャレンジで、10問ずつ確認していこう。
過去7年の傾向を、100問で実践
建築基準法100問チャレンジが完成しました
分析結果と2026年4月1日現在の法令をもとに作成したオリジナル100問です。まずは10問から始めて、解説を読みながら苦手分野を確認できます。
10問×10セット | 続きから再開 | 間違えた問題を復習 | 20・50・70・100問で傾向分析
回答履歴はこの端末に自動保存され、次回は続きから再開できます。










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