法令基準日:2026年4月1日
令和元年から令和7年まで、追加実施を含む9試験・問21の36選択肢を検定しました。農地法は9試験すべてで1問出題されています。
結論からいうと、農地法は最初に3条・4条・5条のどれかを決めれば、初心者でも整理できます。耕作目的で売る・貸すのが3条、自分で転用するのが4条、権利を取得して転用するのが5条です。
Kentoくん農地法は、言葉を丸暗記するより『農地のまま使う?』『自分で転用?』『買って転用?』の順で整理すると、一気に見やすくなるよ。
まず動画で全体像|約7年分の頻出論点を短時間で整理
動画で頻出分野と条文の骨格をつかみ、この記事で許可基準・面積・例外まで補強できます。
結論|この順番で勉強すれば迷わない
全部を同じ濃さで覚える必要はありません。過去7年では、第3条と第4条・第5条・市街化区域で約7割を占めました。
10秒以内に該当条文と、原則の許可手続を決められるようにします。
市街化区域、相続、抵当権、2アール・30アール・4ヘクタールを整理します。
第16条〜第18条、転用許可基準、第51条までつなげます。
第1条、第64条・第67条の個人・法人の数値を確認します。
時間がないときも、細かな例外から始めず、S → A → B → Cの順で進めます。
各条は何を担当する? 農地法の全体地図
農地法第1条は、農地を限られた資源として守り、効率的に利用する耕作者へ権利をつなぎ、耕作者の地位と食料供給を安定させるという制度全体の目的を示しています。ここから、農地を守る規制と農地を使い続けるための調整という二つの役割が見えてきます。
| 優先度 | 条文 | 担当する役割 | 問題文で探すサイン |
|---|---|---|---|
| C | 第1条 | 制度全体の目的 | 農地の確保、効率利用、耕作者の地位、食料の安定供給 |
| A | 第2条 | そもそも農地かを決める入口 | 登記地目ではなく、実際に耕作されているか |
| S | 第3条 | 農地のまま使う権利移動を審査 | 売買、贈与、賃貸、競売、相続、抵当権 |
| A | 第3条の3 | 第3条許可を経ずに取得した後の届出 | 相続・遺産分割、遅滞なく農業委員会へ届出 |
| S | 第4条 | 権利移動のない自己転用を審査 | 自分の農地を住宅・駐車場・資材置場にする |
| S | 第5条 | 権利移動と転用を一体で審査 | 買う・借りると同時に住宅・駐車場等へ転用 |
| B | 第16条 | 引渡しで賃貸借を第三者へ主張できるようにする | 登記なし、引渡し、第三者に対抗 |
| B | 第17条 | 通知がない賃貸借を法定更新する | 満了の1年前から6か月前までの更新拒絶通知 |
| B | 第18条 | 解除・解約・更新拒絶を制限する | 都道府県知事の許可、許可を欠く行為の効力 |
| B | 第51条 | 違反転用を止め、農地へ戻す | 工事停止、許可取消し、原状回復命令、請負人 |
| C | 第64条・第67条 | 行為者と法人へ罰則を科す | 3年・300万円、法人の対象違反は1億円 |
この地図で見ると、第3条・第4条・第5条だけが孤立しているわけではありません。第2条で対象土地を決め、第3条から第5条で入口手続を決め、第16条から第18条で利用関係を守り、第51条以降で違反を是正します。長い問題文でも、今はどの段階の話かを決めると条文を選びやすくなります。
初心者向けの一言整理
第2条は「対象」、第3条〜第5条は「入口」、第16条〜第18条は「賃貸借の継続」、第51条以降は「違反後」を担当するんだ。
条文を一続きの流れにすると、長文でも迷わない
| 段階 | 確認する条文 | 最初に読む言葉 | 判断すること |
|---|---|---|---|
| 1 対象を決める | 第2条 | 登記地目、現況、耕作 | その土地が農地法上の農地か |
| 2 入口を決める | 第3条・第4条・第5条 | 売る、貸す、自分で転用、買って転用 | 許可・届出のどの手続か |
| 3 利用を続ける | 第16条・第17条・第18条 | 引渡し、期間満了、解除・解約 | 賃借人をどう保護するか |
| 4 違反を直す | 第51条、第64条・第67条 | 工事停止、原状回復、罰金 | 行政上の是正と刑事罰のどちらか |
問題文が長くても、すべての条文を同時に思い出す必要はありません。現在の利用状態、行為の目的、権利移動の有無、区域、手続主体、時期、法的効果の順で情報を置けば、問われている段階と条文が絞れます。
過去7年・36選択肢の結論
| 分野 | 選択肢数 | 比率 | 主な出題 |
|---|---|---|---|
| 第3条・権利移動 | 13 | 36.1% | 抵当権、相続・遺贈、競売、無許可行為、法人、仮登記 |
| 第4条・第5条・市街化区域 | 12 | 33.3% | 自己転用、転用目的取得、事前届出、一時転用、大規模転用 |
| 賃貸借・対抗力 | 5 | 13.9% | 引渡し、法定更新、18条許可 |
| 農地の定義・現況主義 | 3 | 8.3% | 登記地目と現況の不一致 |
| 許可基準・違反転用・罰則 | 3 | 8.3% | 原状回復、住宅用地造成、法人罰 |
| 合計 | 36 | 100% |
3条だけで36.1%、4条・5条と市街化区域を合わせると33.3%です。この二つで全体の約7割を占めます。まず許可の骨格を固め、その後に賃貸借・現況主義・罰則を足すのが最短です。
ただし、約7割という数字は『3条・4条・5条の名称だけで十分』という意味ではありません。36選択肢では、抵当権・相続・市街化区域・一時転用・無許可行為の効力など、条文を選んだ後の例外と効果が繰り返し問われています。優先順位は条文の暗記順ではなく、①分類、②手続、③例外、④効果の順です。
年度別に何が出た?
| 試験 | 正解 | 主題 |
|---|---|---|
| 令和元年 | 1 | 4条、抵当権、市街化区域、一時転用 |
| 令和2年10月 | 1 | 無許可売買、市街化区域、相続、抵当権 |
| 令和2年12月 | 3 | 現況主義、贈与、競売、4ヘクタール超 |
| 令和3年10月 | 3 | 遺産分割、無許可売買、砂利採取、公共施設転用 |
| 令和3年12月 | 4 | 抵当権、18条、現況主義、市街化区域 |
| 令和4年 | 4 | 対抗力、法人の賃借、原状回復、現況主義 |
| 令和5年 | 2 | 特定遺贈、2アール未満、無許可売買、社会福祉法人 |
| 令和6年 | 1 | 仮登記、5条の連署、法定更新、18条 |
| 令和7年 | 4 | 転用許可基準、一時転用、対抗力、法人罰 |
同じ論点が言い換えられて繰り返されています。抵当権は3回、市街化区域の事前届出は複数回、現況主義は3試験、一時転用も複数回です。直近2年は仮登記・連署・法定更新・許可基準・法人罰まで広がりました。
傾向は『条文名』から『手続の深さ』へ広がっている
令和元年から令和4年までは、抵当権、市街化区域、現況主義など、原則と例外を入れ替える出題が中心でした。直近3年は、令和5年の特定遺贈・農業用施設・法人、令和6年の仮登記・5条申請の連署・法定更新・18条、令和7年の転用許可基準・一時転用・対抗力・法人罰へ広がっています。
この流れから、2026年度は3条・4条・5条を分類するだけでは不十分です。誰が手続するか、いつ手続するか、許可がないと効力はどうなるか、そもそも許可できる計画かまで一段深く確認しておく必要があります。ただし、直近3年だけで出題を断定せず、まず過去7年の約7割を占めた3条〜5条を得点の土台にするのが安全です。
問題文で動かされる七つの条件
| 確認する条件 | 何を判定するか | 代表的なひっかけ |
|---|---|---|
| 土地の現況 | 農地法上の農地か | 登記地目だけで決める |
| 行為の目的 | 耕作を続けるか、農地以外にするか | 売買だから常に3条と決める |
| 権利移動 | 自己転用か、取得・賃借して転用か | 4条と5条を入れ替える |
| 区域 | 市街化区域内か | 市街化調整区域にも届出特例を広げる |
| 手続主体 | 農業委員会か、都道府県知事等か | 3条と4条・5条の許可権者を入れ替える |
| 時期 | 事前許可・事前届出か、取得後届出か | 市街化区域の届出を事後とする |
| 法的効果 | 無許可で効力が生じるか | 許可を登記用の書類にすぎないとする |
解くときは、問題文の主語と動詞に線を引き、この七条件のどれが一つだけ入れ替えられているかを探します。条文を丸暗記するより、出題者が動かした条件を見抜く方が安定して得点できます。
最初に3条・4条・5条を決める
| 行為 | 条文 | 原則の手続 | 市街化区域内 |
|---|---|---|---|
| 農地のまま売る・貸す | 3条 | 農業委員会の許可 | 転用特例ではない |
| 自分の農地を駐車場・住宅等にする | 4条 | 都道府県知事等の許可 | あらかじめ農業委員会へ届出 |
| 買う・借りる+駐車場・住宅等にする | 5条 | 都道府県知事等の許可 | 当事者があらかじめ農業委員会へ届出 |



市街化区域は『許可がいらない』だけで終わらせないでね。必ずあらかじめ農業委員会へ届出までセットだよ。
【優先度A】第2条:すべての判断より先に『農地か』を決める
第2条は、農地を『耕作の目的に供される土地』と定義します。宅建試験では、この入口を登記簿上の地目と入れ替えてきます。地目が宅地や山林でも現に耕作されていれば農地になり得て、反対に地目が田・畑でも、現況によってはその表示だけで結論を出せません。
第2条の役割は、4条や5条の前提を作ることです。対象土地が農地でなければ、農地転用の許可を論じる入口に立ちません。問題文を読んだら、売買や転用へ進む前に、まず現況を一度確認します。
【優先度S】第3条:抵当権・相続・無許可売買を落とさない
第3条は、農地を農地のまま利用するための権利移動を農業委員会が審査する条文です。単に土地取引を制限するのではなく、取得後に農地が効率的に利用されるかを入口で確認する役割があります。所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借、賃借権などが対象ですが、抵当権は対象外です。抵当権を設定しても所有者に使用・収益が残るためです。
相続・遺産分割による取得は第3条許可が不要ですが、第3条の3が取得後の届出を担当します。つまり、許可の例外を手続全体の例外へ広げないことが大切です。相続人ではない者への特定遺贈は原則として第3条許可が必要です。
第3条許可が必要な売買で許可を欠けば、所有権移転の効力は生じません。ここは『行政から注意されるだけ』ではなく、権利移動そのものの効力に関わります。一方、許可を停止条件とする仮登記の申請段階では、まだ所有権移転の効力を完成させる場面ではないため、許可の要否を同じに扱いません。
古い教材にある下限面積要件は2023年4月1日に廃止済みです。ただし、農地の全部を効率的に利用することなど、他の許可要件までなくなったわけではありません。



『相続は許可不要』を『何もしなくてよい』に変えないこと。試験は、許可と届出をわざと入れ替えてきます。
【優先度S】第4条・第5条:自己転用か、権利移動+転用か
第4条は、所有者が自分の農地を駐車場・住宅・資材置場などへ変える自己転用を審査します。第5条は、農地を買う・借りるなどの権利移動と、その後の転用を一体で審査します。このため第5条では、原則として権利を渡す側と受ける側の当事者が手続に関わります。
市街化区域内では、第4条・第5条とも原則の許可に代えて、あらかじめ農業委員会へ届け出る特例があります。ただし、第3条は『農地のまま使う権利移動』なので、市街化区域の転用届出特例をそのまま持ち込みません。区域より先に、転用かどうかを判定する必要があります。
元に戻す予定の資材置場や砂利採取でも、その期間は農地以外の用途に使うため、一時転用として規制対象になります。また、砂利採取法など別の法律の認可を受けても、農地法が守る目的は別なので、農地法の許可が当然に消えるわけではありません。
【優先度A】面積の数字は、役割を分けて覚える
| 面積・場面 | 2026年度の整理 | 試験の罠 |
|---|---|---|
| 2アール(200m²)未満 | 自己の農地を農作物育成・養畜用の農業用施設にする場合、4条許可不要となり得る | 200m²ちょうどは『未満』に入らない |
| 30アールを超える転用 | 許可判断で原則として都道府県農業委員会ネットワーク機構の意見聴取が加わる | 許可権者が変わる数字ではない |
| 4ヘクタールを超える転用 | 農地法附則第2項により都道府県知事等が農林水産大臣と事前協議する | 農林水産大臣が直接許可する、は誤り |
面積だけで許可・不許可が決まるわけではありません。30アール超でも4ヘクタール超でも、面積の数字が直接『許可できる・できない』を決めるのではなく、審査の流れに意見聴取や協議を加えます。実際の許否は、農地の位置による立地基準と、計画の実現性などを見る一般基準の両方で判断されます。
立地基準|農地を守る必要性が高いほど転用は厳しい
| 農地の区分 | 基本的な考え方 | 宅建での押さえ方 |
|---|---|---|
| 農用地区域内農地 | 市町村の農業振興地域整備計画で農用地区域に定められた農地。原則として転用不許可 | まず農用地区域からの除外が問題になる |
| 甲種農地・第1種農地 | 良好な営農条件を備える農地。原則として転用不許可だが、法令上の例外がある | 『絶対に不許可』へ言い換えない |
| 第2種農地 | 市街地化が見込まれる区域等の農地。代替地で目的を達成できるときは原則不許可 | 他の土地でできないかを確認する |
| 第3種農地 | 市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内の農地。原則として転用許可 | 市街化区域の届出特例とは別の分類 |
一般基準|その転用計画を本当に実行できるか
| 審査する点 | 具体的に確認されること | 試験での読み方 |
|---|---|---|
| 事業実施の確実性 | 資力・信用、必要な他法令の許認可の見込み、工事計画 | 計画だけで実現性がない場合は不許可になり得る |
| 権利関係 | 転用を妨げる権利を持つ者の同意 | 土地を使える法的状態かを確認する |
| 申請地の全体利用 | 申請した農地の全てを目的どおり使う確実性 | 一部を使わない住宅用地造成は要注意 |
| 周辺農地への影響 | 土砂流出、排水、農業用施設の機能、営農条件への支障 | 申請地だけでなく周囲も審査する |
| 一時転用後の復元 | 期間終了後に農地へ戻す計画と実現性 | 『一時的だから自由』ではない |
令和7年は、住宅用地造成について申請農地の全てを住宅用に供する確実性がない計画が不許可となり得る点まで出題されました。2026年度は、許可が必要かだけで止まらず、その計画を許可できるかまで確認するのが直近傾向への対応です。



2アール、30アール、4ヘクタールは同じ『許可面積』ではありません。例外、意見聴取、大臣協議と役割が全部違います。
【優先度B】第16条・第17条・第18条:農地賃貸借を三段階で守る
第16条から第18条は、農地を借りて耕作する人の利用が簡単に不安定にならないよう、賃貸借を三段階で保護します。第16条は第三者との関係、第17条は期間満了時、第18条は終了させる場面を担当します。
| 条文 | 守る場面 | 結論 |
|---|---|---|
| 第16条 | 所有者が変わったとき | 登記がなくても、農地の引渡しがあれば後の物権取得者へ賃貸借を対抗できる |
| 第17条 | 期間が満了するとき | 原則として満了の1年前から6か月前までに更新拒絶通知がなければ、同一条件で法定更新 |
| 第18条 | 解除・解約・更新拒絶をするとき | 原則として都道府県知事(指定都市の区域内では指定都市の長)の許可が必要で、許可を欠く行為は効力を生じない |
ここでの頻出ミスは、賃貸借と使用貸借を同じにすること、更新拒絶通知の期間を反対にすること、所有者からの解約なら自由だと考えることです。条文を『対抗力→更新→終了制限』の順でつなげて覚えます。
【優先度B〜C】第51条・第64条・第67条:違反後は是正と罰則が別に動く
第51条は、違反転用に対して許可取消し、条件変更、工事停止、原状回復などを命じる条文です。命令の対象は土地所有者だけに限られず、違反工事の請負人や下請人が含まれる場合があります。『誰が転用したか』だけでなく、『誰が工事へ関与したか』まで見るのがポイントです。
第64条は、3条・4条・5条・18条違反などについて、行為者を3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象とします。第67条は両罰規定で、法人の業務に関する4条・5条違反転用などでは、行為者を罰するほか、法人に1億円以下の罰金を科すことがあります。令和7年は300万円と1億円の入替えが正面から問われました。
学習後の最終チェック
- 3条・4条・5条を10秒で分類する。
- 市街化区域は「あらかじめ届出」を固定する。
- 抵当権・相続・現況主義を落とさない。
- 一時転用と農地賃貸借の特則を仕上げる。
- 2アール、30アール、4ヘクタールの役割を区別する。



ここまで読めたら、次は50問を10問ずつ。間違えた問題だけ復習すれば、問21の1点を取りにいけるよ。
農地法50問チャレンジへ進もう
10問ずつ解いて、その場で正誤の理由と今回の整理を確認できます。










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