【宅建一問一答】非常災害の応急措置に開発許可は必要?|法29条1項1号〜11号

非常災害の応急措置に開発許可が必要かを問う宅建都市計画法一問一答のサムネイル
Kentoくん

非常災害の応急措置は、市街化調整区域で大きな開発行為を行う場合でも開発許可が必要なのでしょうか。法第29条第1項の全体像から一緒に整理しましょう。

今回は、宅建士試験の一問一答を入口に、都市計画法第29条第1項を確認します。動画より少し詳しく、開発許可を要しない第1号から第11号まで、第10号と第11号の違い、施行令第22条、応急仮設住宅の実務例まで整理します。

目次

まずは動画で一問一答

今回の問題

市街化調整区域で、非常災害に必要な応急措置として7,500㎡の土地の区画形質を変更するときは、あらかじめ開発許可を受けなければならない。

Kentoくん

正しいか、誤りか。区域と面積に注目したくなりますが、その前に開発行為の目的を確認してみてください。

正解は「誤り」

非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為は、都市計画法第29条第1項第10号により開発許可を要しません

第10号には、市街化調整区域を除外する文言や面積基準がありません。したがって、この問題は7,500㎡という面積より先に、「非常災害のため必要な応急措置か」を判断します。

Kentoくん

開発許可の問題は、面積だけで結論を出さず、まず法第29条の許可不要行為に該当するかを確認するのがポイントです。

開発許可不要行為は第1号から第11号

都市計画区域または準都市計画区域内の開発行為は、法第29条第1項本文により原則として開発許可が必要です。ただし、同項第1号から第11号のいずれかに該当する開発行為は例外となります。

都市計画法第29条第1項の第1号から第11号までを、1号から3号、4号から9号、10号、11号に分けた図
今回の問題は第10号。第11号は施行令第22条へつながります。
開発許可を要しない開発行為の概要
1号市街化区域、非線引き都市計画区域または準都市計画区域で、政令で定める規模未満のもの
2号市街化調整区域、非線引き都市計画区域または準都市計画区域で、一定の農林漁業用建築物などを目的とするもの
3号政令で定める公益上必要な建築物を目的とするもの
4号都市計画事業の施行として行うもの
5号土地区画整理事業の施行として行うもの
6号市街地再開発事業の施行として行うもの
7号住宅街区整備事業の施行として行うもの
8号防災街区整備事業の施行として行うもの
9号公有水面埋立法の免許を受た埋立地で、竣功認可の告示前に行うもの
10号非常災害のため必要な応急措置として行うもの
11号通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で、政令で定めるもの

第1号から第3号の注意点

開発許可不要行為のうち規模未満、農林漁業用建築物など、公益上必要な建築物を整理した図
規模、農林漁業、公益施設という大きな分類だけでなく、対象区域と政令要件まで確認します。

第1号:規模未満

第1号は、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域の開発行為で、政令で定める規模未満のものです。市街化調整区域はこの第1号に含まれません。

第2号:農林漁業用建築物など

農業、林業または漁業の用に供する政令で定める建築物や、これらの業務を営む者の住宅を目的とする開発行為です。「農業に関係すれば何でも許可不要」ではなく、建築物の用途、業務を営む者かどうか、対象区域を確認します。

第3号:公益上必要な建築物

駅舎その他の鉄道施設、図書館、公民館、変電所などのうち、開発区域と周辺の適正な土地利用や環境保全に支障がないものとして政令で定める建築物が対象です。公共施設や公益施設と呼ばれるものがすべて対象になるわけではありません。

第4号から第9号は「事業の施行」と時点がポイント

開発許可不要行為のうち都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業などと埋立地を整理した図
第4号から第8号は事業の施行として行う開発行為。第9号は埋立地の告示前という時点を確認します。

第4号から第8号で重要なのは、各事業の「施行として行う」開発行為であることです。単に都市計画事業の区域内にある、または土地区画整理事業の対象地にあるというだけで、個人の開発行為が当然に第4号から第8号に該当するわけではありません。

第9号は、公有水面埋立法の免許を受た埋立地で、まだ同法第22条第2項の告示がない場合です。一般に竣功認可の告示前という時点の限定があるため、告示後まで同じ扱いが続くとは限りません。

第10号と第11号は分けて覚える

区分根拠内容
非常災害の応急措置法29条1項10号法律が直接、開発許可不要と定める
通常の管理行為・軽易な行為など法29条1項11号+施行令22条法律が具体的な行為を政令へ委任する

今回の問題の直接根拠は、施行令第22条ではなく都市計画法第29条第1項第10号です。

施行令第22条の6類型

仮設建築物、附属車庫や物置、10平方メートル以内の増築や改築、小規模な日用品店舗などの6類型を示す図
第11号の「政令で定めるもの」を、都市計画法施行令第22条が具体化します。
  1. 仮設建築物の建築、または事業に一時使用する第一種特定工作物の建設を目的とする開発行為
  2. 車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築を目的とする開発行為
  3. 増築の床面積または増設する特定工作物の築造面積が10㎡以内のもの
  4. 法29条1項2号・3号の建築物以外の建築物の改築で、用途変更を伴わないもの、または特定工作物の改築
  5. 前号以外の建築物の改築で、改築部分の床面積が10㎡以内のもの
  6. 市街化調整区域の周辺居住者が自ら営む日用品店舗などで、建築物の延べ面積50㎡以内、業務用部分50%以上、開発規模100㎡以内などの要件を満たすもの
Kentoくん

施行令第22条の第6号は、小さな店舗なら何でも対象になるわけではありません。営業者、居住地、用途、床面積、業務用部分の割合、開発規模をすべて確認します。

実務例:令和6年能登半島地震の応急仮設住宅

国土交通省が2024年1月9日に発出した通知は、応急仮設住宅などの建築に係る開発行為について、二つの許可不要ルートを示しています。

非常災害の応急措置と仮設建築物の二つの開発許可不要ルートを示す図
法29条1項10号の応急措置と、法29条1項11号・施行令22条1号の仮設建築物の二つです。

同通知は、被災地から遠方の場所に応急仮設住宅などを建築する場合も、同様に開発許可を要しないと解してよいとしています。

実務ワンポイン

開発許可が不要であることと、すべての行政手続が不要であることは同じではありません。農地転用、盛土規制、道路・河川、建築関係などは別途確認が必要です。

また、非常災害の応急措置としての利用が終了した後に、土地や建築物を恒久的に利用するときは、同じ許可不要規定のまま扱えるとは限りません。計画の早い段階で開発許可権者と関係法令の担当窓口へ相談することが大切です。

宅建士試験の勉強ポイント

  1. 非常災害のため必要な応急措置は、法29条1項10号
  2. 第10号の判断では、問題文の区域や面積より先に開発行為の目的を確認する
  3. 仮設建築物や通常の管理行為などは、法29条1項11号+施行令22条
  4. 第4号から第8号は、各事業の「施行として」行う開発行為
  5. 開発許可不要でも、他法令の手続が不要になるわけではない

まとめ

今回の問題は誤りです。非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為は、都市計画法第29条第1項第10号により開発許可を要しません。

試験では、「市街化調整区域」や大きな面積に引っ張られず、第1号から第11号の許可不要行為を先に確認しましょう。第10号と、第11号・施行令第22条を分けられると、似た記述にも対応しやすくなります。

根拠・参考資料

法令・公的資料確認日:2026年8月14日

このメモは資格試験の学習を目的とした一般的な解説です。法令改正や個別案件については、最新法令、行政資料および担当窓口で確認してください。

記事の制作・確認について
本記事はKentoくん編集部が制作し、建築基準適合判定資格者/建築・都市計画行政実務者が内容を確認しています。
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