このメモでは、「田園住居地域」で建築することができる建物用途についてまとめているよ。
「田園住居地域」は2018年4月1日に新たに加えられた用途地域だよ。
まだまだ指定面積が少ない馴染みが少ないけど、資格試験では出題されるから、このメモを参考にしてみてね。
はじめに、日本国内の用途地域における田園住居地域の指定面積割合はどのくらいあると思う?
答えとしては、全体の0.00002%(33ha)だよ。指定されている都市は「北海道本別町」がある「本別町都市計画区域」になるよ。
※出典:国土交通省,「令和5年都市計画現況調査」
指定された面積はまだまだごく僅かなんだけど、制度が出来た背景としては、国の計画において、市街地内の中の農地(=正式名称:都市農地)を”都市にとってあるべきもの”と位置付けたことにあるんだ。
その理由として、近年の環境・景観志向、災害防止などの観点から公園や緑地、広場、農地といった緑の重要性が再認識されはじめていることにあるよ。
これに加えて、都市計画的な視点で見ると、これから人口減少していく中では都市運営を効率化しようとコンパクトシティが進められているんだけど、市街地の農地は簡単に宅地に転用することができるからコンパクトシティを進める上では、緑として維持し続けることに一定の効果があるんだ。
田畑や緑はグリーンインフラとして水害から市街地を守る役割や、夏季のヒートアイランド減少の緩和、さらには、居住環境の向上も期待できるから近年注目されているんだ。
「田園住居地域」の建物用途制限は、第二種低層住居専用地域に農業系施設の建築が可能になると覚えるといいかも。
具体的には、第二種低層住居専用地域で建築することができる建物に加えて、次の用途(二〜四号が田園住居地域の特徴)の建築することが可能だよ。
法別表第2(ち)項 | 建物用途 | 類似する用途・留意点 |
---|---|---|
一号 | (い)項第一号から第九号までに掲げるもの。 →第一種低層住居専用地域内で建築することができる建物 (一種低層の用途規制はこちら) | 住宅や兼用住宅、学校、 診療所、宗教施設、 公共施設など |
二号 | 農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの(政令で定めるものを除く。) ※政令:著しい騒音を発生する農産物の乾燥その他の農産物の処理に供するもの | 農業用倉庫 農作物加工場 (国土交通省告示) |
三号 | 農業の生産資材の貯蔵に供するもの | 農業用資材倉庫 |
四号 | 地域生産農作物の販売が主目的の店舗・飲食店で床面積が500㎡以下 →田園住居地域等で生産された農産物の販売を主たる目的とする店舗 →地域生産農産物を材料とする料理の提供を主たる目的とする飲食店 →食品製造業を営むパン屋等(地域生産農作物) (注)3階以上の部分は店舗等に供してはならない。 (注)パン屋等の食品製造業は作業場の床面積50㎡以下、かつモーター0.75kw以下 | 農作物販売店 農家レストラン 米屋 豆腐屋 菓子屋 |
五号 | 日用品販売店舗等で床面積が150㎡以下 →食堂、喫茶店、理髪店、美容院、質屋、クリーニング取次店、質屋、 貸衣装屋、貸本屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具、パン屋、米屋、 豆腐屋、菓子屋、学習塾、華道教室、囲碁教室 (注)3階以上の部分は店舗等に供してはならない。 (注)パン屋等の食品製造業は作業場の床面積50㎡以下、かつモーター0.75kw以下 | 調剤薬局、介護用品店、 マッサージ店、 まつ毛エクステ店、 ネイルサロン、 コインランドリー(*0.75kw以下)、 ヨガ教室、料理教室、 |
六号 | 一〜五号に附属する建物 | 倉庫や車庫など |
「田園住居地域」は、住宅と農地の混在地域の理解すると覚えやすいよ。
建築制限のほかに、300平米以上の開発規制も適用されるよ。
従来は、地区計画を活用して住農混在の地域を誘導していたけど、これからは田園住居地域に変更されていくはず。
ちなみに、市街化区域内の田園住居地域は、固定資産税等の特例(1/2等)を受けることからできるから税制面でも有利だよ。
まとめだよ。
・田園住居地域は2018年4月1日に登場
・指定面積は全国でごくわずか(これから徐々に増える)
・住宅と農業が混在する地域(都市農地)
・建てられる用途:第二種低層住居専用地域+農業系施設
・市街化区域内田園住居地域は固定資産税等の特例を受けられる。
「用途地域」の理解を深めたい人には次の書籍がおすすめだよ。
法令集
ケントくんも使っている法令集だよ。建築専業で仕事をする人や建築法規に詳しくなりたい人は購入してみて。
建物用途ごとにどのような建物が建築することができるのかが分かる一覧表が掲載されているから早見表として利用できるよ。用途地域制限は2018年4月以降(田園住居地域指定)は改正されていないから2018年4月以降であれば中古品でも大丈夫だよ。
図解入門 よくわかる最新都市計画の基本と仕組みなど
大学の教科書っぽくて少し難しい部分はあるけど、用途地域の他に都市計画の仕組みも勉強できる点がメリットだよ。
基本の仕組みを理解することで用途地域も覚えやすくなるよ。
建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例
Amazonでは販売されていないのが難点だけど、行政が用途地域制限で最も多様しているのがこの書籍だから、一冊持っておくと用途制限の判断に迷ったときに助けになるよ。
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