用途上不可分と用途上可分は建築確認申請にどのように関係するの?

ケントくん

このメモでは、建築基準法における用途上可分・用途上不可分についてまとめているよ。

ケントくん

可分・不可分についての明確な定義は建築基準法には記載されていないんだよ…。だから、建築計画を考える場合に悩むポイントになるんだ。
理解を早めるためのキーワードとしては「一敷地一建築物の原則」だよ。

一敷地一建築物の原則というのは、一つの敷地に建てられる建物は一つの建物とする考え方だよ。これについては、建築基準法施行令の定義に次のように記載されているんだ。

一敷地一建物の原則

(用語の定義)
第一条 この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 敷地 一の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいう。
※建築基準法施行令第1条第1項第一号

建築基準法における「敷地」とは、建築確認申請における敷地の範囲のことをいうよ。この範囲について深掘りするとこのページでは収まらないから次回以降の記事にするよ。

この施行令では、敷地は一つの建築物であるか、または「用途上不可分」の関係にある建築物群を指しているよ。今日のメモで最も大切なポイントだよ。

ここではじめて「用途上不可分」という言葉は登場するんだけど、「用途上可分」については、この施行令第1条第1項第一号以外ではどこにも登場しないんだ。

ケントくん

「用途上不可分」の理解を早めるには、”用途”と”不可分”に分けて考えると分かりやすいよ。

建築基準法でいう「用途」とは、建物用途のこと。

敷地単位で見た際の用途としては建築確認申請書第三面に記載される用途名になるよ。

その上で、申請書第四面に記載される棟別ごとの用途が「不可分」の関係性にあるのかどうかが、用途上不可分を判断する上で重要になるんだよ。ちょっと難しいんだけど、申請書四面に記載しなければならない建物用途から、例えば、事務所、倉庫、一戸建ての住宅などが不可分の関係性にあるかかどうかがポイント。

「不可分」・「可分」の意味だけど、次のような意味だよ。

【不可分】
「不可分(ふかぶん)」とは、分けることができない、または切り離すことができない状態を意味する。一般的には、2つ以上の要素が強く結びついていて、それぞれが独立して存在するのではなく、相互に依存し合っているような関係を指す。
【可分】
「可分(かぶん)」とは、分けることができる、または分割が可能な状態を意味する。ある要素や構成物が独立して存在できるように、複数の部分に分けることができる関係や状態を指す。

ケントくん

用途上不可分の関係をイメージしやすいものとして、生産工場棟(作業場)と電気・機械棟であったり、店舗や飲食店と倉庫(バックヤード)、事務所と附属する車庫のような関係があるよ。
一方で可分の代表的な例として、住宅と住宅、工場と寄宿舎のような関係性が考えられるね。

少し疑問に感じた人もいると思うけど、「車庫」や「倉庫」はそれ自体でも単独で成立するから切り離す(敷地をそれぞれ別に分ける)ことも可能だよね。申請上、あえて切り離すこともできるよ(または一部の規定から逃れるために切り離すことも)。

用途規制的に用途上不可分の関係にないと建築することができないケース(第一種低層住居専用地域)もある点には注意が必要だよ。)

一方で附属することが可能(不可分の関係性)となっていても判断が難しい場合があるよ。例えば、店舗の面積に対して10倍以上の面積の倉庫は附属の倉庫と言えそう?店舗のバックヤードではなくて、倉庫単体で何かの事業を行うのでは?と思うよね。このように社会常識に照らすと分かりやすいかも。

主要用途附属用途(不可分の関係)可分の例
戸建て住宅車庫、物置、勉強室、茶室、離れ(隠居室)3点セットを備えた戸建て住宅
共同住宅・長屋車庫、物置、自転車置場、機械室、電気室、ごみ置場共同住宅、長屋
旅館・ホテル離れ(客室)、浴室棟、東屋(休憩棟)、フロント棟、車庫など
工場事務棟、倉庫、機械室、電気室、守衛棟、管理棟、保育所・診療所棟(従業員用)など寄宿舎
学校管理棟、食堂、図書館、体育館、剣道場、ジム、柔道場など
寺社庫裡、本堂、納骨堂、便所棟など
病院車庫、倉庫、自転車置場、機械室、電気室、ごみ置場など薬局
※用途上不可分・可分の例
ケントくん

用途上可分となれば、棟ごとに接道や避難経路を確保する必要があるよ。この原則論が無いと利用者に危険性が及ぶ可能性があるんだ。
例えば、接道幅2mに対して、何十棟のも建築物が建築していたらどうだろう?災害や火災の発生時にはとても危険性が高そうだよね。

ケントくん

用途制限をクリアするために、わざと用途上不可分の関係にあるものを可分にする行為は違法建築物となる可能性があるよ。用途地域の制限に抵触する恐れがあるから注意してね。

ケントくん

まとめだよ。
「用途上不可分」とは、機能上切り離すことができない関係性にある建物用途群のことだよ。例えば、戸建て住宅と倉庫や離れなどが該当するよ。一方で反対に「用途上可分」とは、住宅と住宅といった関係性にあるものをいうよ。
※可分に該当する棟同士は敷地を分ける必要があるよ。


 こちらの書籍は建築士なら必ず持っていると思う。用途上不可分の考え方が記載されているから参考になるよ。

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