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このメモでは、建築基準法における建築物の定義をまとめているよ。
法律は、建築基準法第2条第1号に書かれている内容だよ。
様々な法律における「建築物」は、建築基準法の「建築物」を意味するから、”建築物の定義”を知るととても便利だよ。
判例も用いて解説するから少し難しい内容かもしれないけれど、できる限り分かりやすく解説していくよ!!!
建築基準法における建築物の定義は、建築基準法第2条第1号に次のように書かれているよ。
建築物土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
建築基準法第2条第1号 建築物
建築物の定義を理解する上で重要な部分は次の6つ。
- 土地に定着する工作物
- 屋根+柱
- 屋根+壁
- 1〜3に附属(ふぞく)する門、塀
- 観覧のための工作物
- 地下(高架)の工作物内に設ける事務所や店舗、倉庫など
ちなみに、鉄道施設内の建物の場合には、改札を境にラチ(ラッチ)内とラチ外かによると、一般的には改札から内側は建築基準法の建築物に該当しないんだよ。
建築物の定義に置いてもっとも大事なポイントを伝えると、「土地に定着する」という部分だよ。
過去の判例では、「土地に定着する」という文言に対して、次のように考え方が示めされているんだ。判例の文言のため少し読みにくいけど、「土地に定着する」という考え方がわかるようになっているよ。
「土地に定着する」とは、民法が建物の取引の安全性という見地から構造上の独立性を重視するのとは異なり、建築基準法は、建築物の利用者の生命、健康及び財産を守るとともに、都市の機能確保や市街地環境の確保を図ることをその目的としていることからすると、民法における建物の土地との定着性の概念より広い概念と解するのが相当であり、屋根と柱とがある工作物であれば、物理的に強固に土地に緊結されていなくても、随時かつ任意に移動できる工作物ではない限り、土地を継続的に占有し、工作物本来の用法上、定常的に土地に載置されている態様をも含む。
平成17年11月25日,大阪高等裁判所 *引用:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=33077
ちなみに、ごく小規模な物置(内部に人が立ち入らないもの。例えば奥行き1mなど)については、建築物には該当しないとする考えが国から示されているよ。
※参考:技術的助言(国住指第4544号 平成27年2月27日)
よく、「いつでも動かせる物置だから建築物ではない」と言って、海上輸送用のコンテナを地面に直置きしているレンタル倉庫があるんだけど、法律上では建築物に該当するから、鉄筋コンクリートの基礎を設けて地震や風、積雪に対して安全性(転倒しないか。滑らないか。沈下しないか。)を確認しないといけないんだよ。
建築確認を経ずに建てると、「手続き違反」、基礎がなければ「構造違反」、その他の制限に違反している可能性が高いので、最悪懲役刑になる可能性があるよ。また、違反行為が原因で人を傷つければ「刑事・民事」の両方で罰せられる可能性があるよ。
いつでも動かせるという理由でいえば仮設建築物は建築物に該当するのか疑問に持つ人もいると思うけど、仮設建築物は建築基準法の建築物に該当し、災害時を除いて建築前には行政の許可が必要になるよ。しかも通常の確認申請よりも高額だよ。
ただし、仮設建築物については、建物の構造等で一部制限の緩和を受けることができるよ。
仮設建築物を計画する場合は、自分で仮設かどうかは判断しないで、役所(建築行政を管轄する窓口)に相談してみてね。
次に大事な部分は「屋根と柱」、「屋根と壁」という部分だよ。
柱や壁があっても屋根を設置していなければ建築物には該当しないよ。
そして、”屋根”はちゃんと雨や雪を防ぐ構造となっていることも大事な要素になるよ。例えば、公園に設置されることが多いパーゴラは本来の屋根としての効果を発揮しないから建築物には該当しないよ。
パーゴラの屋根部分に植物(つる)を設置すれば日射・雨除けになる上に、突風による吹上げも発生しないから構造的にも安全だよ。
一般的な建築物の定義は・・・
・土地に定着するもの
・屋根+柱または屋根+壁があること
※屋根本来の目的である雨除けの機能を備えていれば屋根に該当するよ。
今回は少し難しいメモ書きになってしまったけど、建築物の定義は建物に関する法律の大原則だから覚えてみてね。
ちなみに、住宅の敷地内に設けられる門や塀や、高架線下の建物、さらに建物を使用するために必須の建築設備(電気、給排水、換気など)も建築物に該当するよ。
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