ケントくんこのメモでは、戸建て住宅や店舗併用住宅(住宅部分)の設計において排煙窓の検討が不要な理由をまとめているよ。



戸建て住宅・店舗併用住宅の設計において使用する法令メモ。
この法令は住宅設計の基本になるからこのメモで覚えてみてね。
建築基準法では、原則として居室(人が継続して使用する部屋)には、床面積に応じて外に面する開口部を設置しなければならないとするルールがあるよ。このルールは昭和46年(1971年)1月1日から設けられているんだ。
なぜ、このルールが設けられているのかというと、建物火災時に煙を外部に逃することで人の避難経路を確保ことにある。煙は上昇するから、その煙を外に逃せば避難経路を確保することができるという理屈だよ。
ここから本題。けれど、このルールには例外があるよ。
というのも、小さな建物や特定の人が利用する場合、とりわけ、その建物の住人であれば普段から避難経路を理解しているのが一般的といえるよね。だから、自然換気ができることを前提として例外規定が設けられているんだ。
例外規定は昭和47年(1972年)から設けられていて、現在は平成12年建設省告示第1436号に定められているよ。このルールの流れは次のように整理できるんだ。少し難しいんだけど、法→令→告示 と順番に覚えないと完全には理解できないからぜひ読んでみて。
→この法律で、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物という記載が戸建て住宅や兼用住宅に該当する部分だよ。
別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物、階数が3以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が1,000㎡をこえる建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓せん、スプリンクラー、貯水槽そうその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。
→すべての居室は床面積の1/50以上の開口部(開口部の位置は告示で定められている)が必要であることを定めている条文になるよ。
開放できる部分(〜略〜)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1(〜略〜)以上のもの
→ここで先ほどの「2」に適合しない居室は、排煙設備を設ける必要が出てくる。だけど、最後の「ただし」というところが重要なポイントだよ。また、排煙窓と排煙設備は施行令上は別々の規定となっているがとても重要なポイントだよ!
法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるもの、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物(〜略〜)、第116条の2第1項第2号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの(〜略〜)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 〜 四 (略)
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
→階数2以下でかつ小規模な床面積の住宅がこの告示の適用を受ける。つまり、排煙設備の設置がいらない。
建築基準法施行令第126条の2第1項第五号に規定する火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分は、次に掲げるものとする。
一 〜 二 (略)
三 次のイからトまでのいずれかに該当する建築物の部分
イ 階数が2以下で、延べ面積が200㎡以下の住宅又は床面積の合計が200㎡以下の長屋の住戸の居室で、当該居室の床面積の20分の1以上の換気上有効な窓その他の開口部を有するもの



以上が法令の整理だよ。
・法のみでは分からず、国土交通大臣が定める告示にまで読まないと、戸建て住宅で排煙窓が不要とする記述まで至らないんだ。とても難しい規定だよね。
排煙設備の設置が不要となる例外的なルールをまとめると次のようになる。
- 2階以下かつ延べ面積200㎡以下の戸建て住宅
- 床面積200㎡以下の長屋かつ、その長屋の住戸で床面積の1/20以上の換気窓を有する居室



・間仕切り壁等で明確に仕切られる併用住宅については、住宅と店舗等が分かれているから、告示三号にある”建築物の部分”とあるように、2階以下かつ床面積200m2以下である住宅部分に限り適用される仕組みとなっている。*兼用住宅の場合、住宅・店舗混在の居室は排煙窓の設置検討が必要になるよ。
・ちなみに、通常、戸建て住宅には採光と換気用に窓を設置しないといけないから、こうした開口可能な窓が排煙も兼ねているケースが多い。
・3階建ての戸建て住宅には適用できない規定になっているよ。



まとめだよ。
原則として排煙窓の設置が不要となる小規模な戸建て住宅は、次の2種類
①延べ面積200㎡以下かつ2階以下の戸建て住宅(併用住宅は住宅部分のみ対象)
③床面積200㎡以下の長屋かつ、その長屋の住戸で床面積の1/20以上の換気窓を有する居室










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