このメモでは「第二種低層住居専用地域」で建築することができる建物、できない建物についてまとめているよ。あと、ちょっとした統計や歴史にも触れているよ。
現在、国内で指定されている用途地域のうち、2016年に新しく登場した「田園住居地域」を除いて最も指定面積が小さいのが「第二種低層住居専用地域」だよ。最新統計(2023年3月末)では全体の0.85%(16,002ha/1,875,405ha)だよ。
なぜ、第二種低層住居専用地域の指定面積が少ないのかというと、その理由は住居系用途地域の歴史と制限内容にあるよ。
現在、住居系用途地域は全部で8種類あるんだけど、7種類に細分化される前は3種類のみだったんだ。
*3種類から7種類に変更となったのは1992年
3種類というのは、「第一種住居専用地域」、「第二種住居専用地域」及び「住居地域」だったんだけど、一種住専が現在の第一種低層住居専用地域、二種住専が第二種中高層住居専用地域、、住居地域が準住居地域とイメージしてもらえれば良いと思う。
第一種住居専用地域と第二種住居専用地域の幅が大きいぃ!!
現在の第二種低層住居専用地域は、一種低層住居に日用品の買い物ができる店舗の建築が可能なくらいなんだ。一方で、従来の二種住専は現在の二種中高層に近いから、1992年に細分化されたといっても二種低層の制限は限りなく一種低層に近いイメージだよね。
1992年の法改正による用途地域の細分化により、各自治体は土地利用の現況に限りなく整合する用途地域に変更したんだけど、それでも多くの「既存不適格建築物」が発生することになったんだよ。自治体によって異なるけど、およそ法改正から1〜2年ほどかけて用途地域が更新されているはずだよ。
二種低層の街のイメージとして、一種低層住居専用地域が指定される郊外の住宅団地の中心であったり、住宅街区の沿道沿いの一部にちょっとした飲食店やコンビニを誘導するものだったから、活用できるのは限定的なエリアのみで一種低層ほどの大きな指定が求められるエリアが少なったことがあげられるよ。
一種低層と同じく手厚い住環境保護が目的とされる地域だから、住宅や学校、診療所、一部の日用品店舗等の限られた建物のみ建築することができるよ。一方で人の集散が24時間あるような騒音の問題になる建物は建築することができない規制となっているよ。
それでは、具体的に何が建てられなくて、何を建てることができるのか。詳しく説明するね。
法律では、”建築することができる建築物”が列挙されているよ。
”できる建物”というのがとても重要で、法律に列挙されている建物用途以外は建築することができないよ。
法別表第2(い)項 | 建物の用途 | 類似する用途・留意点 |
---|---|---|
一号 | (い)項第一号から第九号までに掲げるもの。 →第一種低層住居専用地域内で建築することができる建物 (一種低層の用途規制はこちら) | 住宅や兼用住宅、学校、 診療所、宗教施設、 公共施設など |
二号 | 日用品販売店舗等で床面積が150㎡以下 →食堂、喫茶店、理髪店、美容院、質屋、クリーニング取次店、質屋、 貸衣装屋、貸本屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具、パン屋、米屋、 豆腐屋、菓子屋、学習塾、華道教室、囲碁教室 (注)3階以上の部分は店舗等に供してはならない。 (注)パン屋等の食品製造業は作業場の床面積50㎡以下、かつモーター0.75kw以下 | 調剤薬局、介護用品店、 マッサージ店、 まつ毛エクステ店、 ネイルサロン、 コインランドリー(*0.75kw以下)、 ヨガ教室、料理教室、 |
三号 | 一〜二号に附属する建物 | 日用品販売店舗等の倉庫など |
まとめると、第二種低層住居専用地域では、第一種低層住居専用地域に加えて、日用品販売店舗等で床面積が150㎡以下(2階以下)の建物を建築することができるよ。また、これらに附属する建物も建築可能だよ。
逆を言えば、”建築することができる”だから、上記の表に記載の無い建物以外は建築することはできないよ。
「用途地域」の理解を深めたい人には次の書籍がおすすめだよ。
法令集
ケントくんも使っている法令集だよ。建築専業で仕事をする人や建築法規に詳しくなりたい人は購入してみて。
建物用途ごとにどのような建物が建築することができるのかが分かる一覧表が掲載されているから早見表として利用できるよ。用途地域制限は2018年4月以降(田園住居地域指定)は改正されていないから2018年4月以降であれば中古品でも大丈夫だよ。
図解入門 よくわかる最新都市計画の基本と仕組み
大学の教科書っぽくて少し難しい部分はあるけど、用途地域の他に都市計画の仕組みも勉強できる点がメリットだよ。
基本の仕組みを理解することで用途地域も覚えやすくなるよ。
建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例
Amazonでは販売されていないのが難点だけど、行政が用途地域制限で最も多様しているのがこの書籍だから、一冊持っておくと用途制限の判断に迷ったときに助けになるよ。
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